新しい「場」
このワークショップでは、わたしのボディワーカーとしての長年の経験をもとに、参加者一人ひとりがからだと向き合い、他者との深いつながりや独自の表現を体験するための探求の場を提供します。
演出家であり教育者でもあった故・竹内敏晴氏の「からだとことばのレッスン(通称、竹内レッスン)」で用いられた身体表現の手法やエクササイズを土台としつつ、さらに現代的な身体感覚やトラウマケアの知見を取り入れて展開します。
この探求のプロセスでは、単に身体に関する技術を習得するのではなく、私たちが日々無意識に行っている「からだとことば」の習慣を根本から見つめ直すことを目的とします。
身体の繊細な気づきを深めるエクササイズや、朗読、唄、踊り、演技といった様々な身体表現の試みを通じて、以下の3つの重要な要素を体験していきます。
- (1)無意識の「身構え」に気づき、感受性を取り戻す
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日常生活の中で、私たちは知らず知らずのうちに緊張や力みを身体に蓄積しています。これは過去の経験や社会的な習慣からくる「身構え」であり、真の自己表現や他者との柔軟な関わりを妨げる要因となります。
このワークショップでは、その無意識の緊張に光を当て、手放すことで、本来持っている身体の柔軟性や豊かな感受性、そして周りの世界に対する開かれた感覚を取り戻すことを目指します。
- (2)他者に働きかける「声の力」をひらく
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声は、単なる空気の振動ではなく、他者に向けての全身の働きかけ(アクション)の一部です。声は、言葉の意味以前に、私たちの内面、意図、そして身体の状態をありのままに伝えます。
身体の緊張が解け、呼吸が深まるにつれて、声は自然と解放され、力強さと響きを増していきます。ここでは、表面的な発声法ではなく、他者の存在に深く届く「生きた声」を探求します。
- (3)深い集中から生まれる身体の想像力の扉をひらく
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真の集中状態とは、思考が静まり、身体の感覚と一体になる瞬間です。この深い集中の中で日常ではアクセスできない身体の奥底に眠る創造性、すなわち「身体の想像力」が呼び覚まされます。
この力を通じて、日常で習慣化した自己表現の枠を超え、より自由で生き生きとした表現の世界へと踏み出しましょう。
さらに、このワークショップの独自のアプローチとして、プレゼンスから生まれる「身体と身体の共鳴」という新しい視点を深く掘り下げます。
プレゼンスとは、その場に「存在している」という感覚そのものです。それは、姿勢、動作、そして意識の向け方といった非言語的な要素によって構成されます。このワークショップでは、自他のプレゼンスによる言葉を超えた深いレベルでの身体同士の「共鳴」という現象に注目し、身体表現やコミュニケーションの基盤を見つめ直します。
ご参加に際し、演劇やボディワークの経験は必要ありません。この探求に必要とされるのは、「もっと深く生きたい」「変わりたい」という内側から湧き出る根源的な好奇心と、自己に向き合う誠実さだけです。
探求のプロセスにおいては、精神論や抽象的な概念に終始することなく、可能な限り実践的な身体的アプローチを基本とします。
具体的には、身体の構造と機能のバランスを整えるロルフィング®(Rolfing® Structural Integration)などの身体調整技法や、トラウマによって硬直した身体や神経系の反応を解放に導くソマティック・エクスペリエンシング®(Somatic Experiencing®)などのトラウマ・アプローチの最新の知見を応用します。
これらの科学的・実践的なアプローチを取り入れることで、参加者が自他のプレゼンスに気づき、集中と変容のプロセスを進められるようサポートします。
竹内敏晴氏(1925〜2009)と「からだとことばのレッスン」について
演出家であった竹内敏晴氏は、自身の特異な経験に基づき、独自の身体論と実践としての「からだとことばレッスン」を展開しました。
氏は幼少期に重度の難聴を患い、10代後半で聴力が回復する過程で「意識的な努力」による母語の習得という体験をします。また、東京帝国大学在学中に終戦を迎え、社会の激変の中で失語症に陥り、再び言葉を取り戻すための努力を強いられました。これらの経験が、「からだ」と「ことば」の関係に対する深い洞察の基盤となりました。
大学卒業後は演出家として活動し、ロシアのスタニスラフスキー・システムを研究するなど、前衛的な演劇活動に取り組みました。44歳の時、発声訓練中に、声によって自己と他者を隔てる壁が砕け、存在と存在のじかなふれあい=「ことばが劈(ひら)かれる」という体験をします。
この体験は、後にメルロ=ポンティの現象学、特に「主体としてのからだ」の概念と出会うことで深められ、独自の身体論として結実しました。
その後、氏は演劇の世界を離れ、この特異な経験と哲学的探求をもとに、演劇訓練の手法を応用した「からだとことばレッスン」を始めます。
これは単なる演技指導ではなく、参加者が自身の「からだ」と「ことば」の関係性を根源から見つめ直す実践の場として、演劇界を超え、一般にも広まりました。その思想は現在も、教育、療育、医療、セラピーといった多様な現場で、多くの人々に影響を与え続けています。
各回のテーマ(例)
毎回、以下のテーマの中から1〜3つ程度を取り上げます。
- 身構えをほどく
- からだゆらし
- ぶら下がり
- ヒトが立つまでの進化を追体験する
- 脱力と体軸
- 「息」を深くする
- 歩き方と背骨
- 声の力をひらく
- 声と背骨の共鳴
- 一音一拍
- 頭頂共鳴(発声、ことばを劈く)
- 呼びかけのレッスン
- 床たたきと共鳴(身体同士の共鳴)
- 朗読と共鳴(物語、詩、戯曲)
- 唄(ことばとアクション)
- 想像力の扉をひらく
- ブラインドウォーク
- 「出会い」のレッスン
- 仮面のレッスン
- 砂浜の出会いのレッスン
- エチュード/クラウンのレッスン
- 無対象(マイム)
- ストップモーションと正当化
- ダンスの始まり
(参考文献:「ことばが劈かれるとき」「からだとことばのレッスン」「日本語のレッスン」「劇へーからだのバイエル」)
詳細・お申し込み
- ・日時
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2026年1月、3月、5月、7月、9月、11月の第3土曜日、10:00〜18:00
- ・会場
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都営武蔵野八幡町4丁目アパート集会室
- ・参加費
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12000円
- ・定員
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16人(最小催行人数4人)
- ・お申し込み方法
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・お申し込みフォーム
https://ws.formzu.net/dist/S880261295
・メール
下記宛てに、タイトルを「研究会申し込み」として、(1)お名前、(2)ご住所、(3)緊急連絡先(携帯電話)、(4)ご参加の月、を記載してお送りください。
- ・お問い合わせ:扇谷孝太郎
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- お電話:080-4162-7653
- メール:workshop@rolfing-jp.com

